
Published : 2012/01/30
レストランに一歩足を踏み入れると、入口にある生簀の中で泳いでいる様々な種類の魚を目にしたことはないでしょうか。
北京は中国では内陸部に位置しているので、海が近くにありません。そこで海魚を使うよりも、淡水魚などの川魚を使った魚料理が主流です。
北京っ子が大好きな魚料理が「水煮魚(シュイジューユイ)」です。もともとは四川省の料理ですが、辛いのが好きな北京っ子の舌に合うようで、友人達の集まりや職場での食事会などのテーブルに上ることの多い人気のあるメニューです。
「水煮魚」は唐辛子や「花椒」と呼ばれるサンショウをふんだんに使った油入りのスープで、ソウギョやナマズなどの淡水魚を煮込んだ料理です。食べる際には唐辛子や花椒を寄り分け、大皿に沈む魚の身をすくって食べます。
淡水魚独特のさっぱりとした白身に、油で煮込んだしっかりとした味付けがされています。この料理の特徴は、大きくて深い器を覆い尽くすかのようにドバっと大量に入っている唐辛子と花椒です。あまりの多さに一見驚いてしまいますが、不思議なことに一度味わうと次も食べたくなるくらい、そのピリッとした刺激的な辛さがヤミつきになってしまうようです。
また、同様の料理法で「水煮肉」と言い、魚ではなく肉を使ったものもあります。
右の写真は、宴会などに登場することの多い代表的な魚料理の一つです。「清蒸多宝魚(チンジェンドゥオーバオユイ)」と言い、イシビラメの姿蒸しです。
イシビラメを丸々一匹、皿ごと蒸しただけのシンプルなメニューでが、淡白な白身魚とネギや生姜などの薬味と醤油ベースのタレが、なんとも言えない絶妙なバランスで、とても美味しいです。白いご飯と一緒に食べたくなる魚料理で日本人好みのお味です。
「多宝魚」と言えば「清蒸」の料理法が一番ポピュラーですが、「紅烧(醤油で煮込んだもの)」や「干烧(油で揚げてから味付けしたもの)」もあります。
「魚頭泡餅(ユイトウバオピン)」も北京っ子に人気のある魚料理です。
「鲢魚」と呼ばれるコイ科の淡水魚の頭を二つに割って甘辛く煮込んだスープに、「油盐餅」と呼ばれ、こねて薄くのばした小麦粉に、しっかりと油を塗った鉄板などで焼いて塩味をつけたものを、じっくり浸して食べます。
ニンニクやショウガなどのいろいろ香辛料の入った煮汁で、淡水魚独特の臭みを上手に消しているので、食べやすい味付けになっています。魚の頭だけですが、大皿で出てくる程の大きさなので意外に量が多く、魚の身がふっくらとしているので食べごたえがあります。またこの甘辛いスープに、ほどよく塩味の効いた「油盐餅」がよく合い、食が進みます。
「酥鲫魚(スージーユイ)」はフナを黒醋でじっくりと煮込んだ魚料理です。もともとは江蘇省の伝統料理でしたが、今は北京でも普通に食べることができます。
骨まで煮崩れそうなくらい、じっくり煮込んで柔くなっていますので、丸ごと全部味わえます。食感はサクサクホロホロしており、黒醋の味がよく染み込んだ甘酸っぱいお味で、お酒のおつまみにも合いそうです。
魚料理は生簀に泳いでいる魚を選ぶだけでなく、その料理法を選択できることが多いので、お好みの料理法でお好みの味に仕上げてもらうことができます。
中国語では「余」と「魚」の発音が同じことから、「余」を「魚」に置き換え「年年有魚(毎年余裕のある生活が送れますように)」と言い、春節(旧正月)などのごちそうにも欠かせない魚料理、ぜひ一度は召し上がってみてください。